会社帰りに本屋に入って、入り口付近の新刊コーナーに並んでいるのをつい買ってしまいました。 けして安くないんだけどね。。。
副題は「北欧神話で読む現代数学理論全6章」。 あるいは原題は「Au hasard / La Chance, la science et le monde」。
北欧神話をはじめ、ユダヤ教やその他さまざまな物語を導入として、
確率、リスク、統計論など数学〜物理学のトピックを語っていくのだけれど、
読み物としてなかなか面白いのは、壮大な叙事詩から数学的エッセンスを取り出そうとするのではなく、
数学、物理学的トピックの中から社会的、歴史的、あるいは哲学的な側面を引き出している点。
とくに量子力学やカオスの確率論的な部分は、
人間の意志や存在するという事柄そのものをあらためて考えさせるもので、
そういったこととがっぷり四つに組んで表舞台に上げていて、なかなか読み応えがあります。
またリスク論の章では現代の楽観的で近視眼的なリスク観を批判しており、
(この章ではとくに著者の感情が垣間見えるようで面白い)
評論としても興味深い内容。
カオス論近辺などは、数学、物理学の話題に疎いと分かりづらい部分もあるけれど、
どの章も冒頭の北欧叙事詩と数学、物理学のからみを読むだけでもかなり楽しめます。
で、徐々に難しい部分も読み進めればよいかと。
著者の著作のなかには摂動論の話なんかもあって、そちらの方がもっと読みたいかも。
(まだ英訳すらこれかららしいけど)。
投稿者 kyohei : March 31, 2006 1:55 AM
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